人工甘味料と血糖値

vaperの健康に影響あるのか?


リキッドに甘味を出すために添加される人工甘味料。これがvaperの健康に影響があるのかどうかを考察していきます。
ここで扱うのはいわゆるゼロカロリー甘味料。代謝されないもの、です。

インスリンは血中のグルコース濃度(血糖値)をトリガーとして放出されます。
グルコースは細胞膜を通過できないため、2種類の輸送形態、能動輸送系と受動輸送系によって細胞に取り込まれます。能動輸送系はグルコースの濃度に関係なく取り込みますが、受動輸送系では濃度差に従ってグルコーストランスポーターが取り込みます。
インスリン放出サイクルにおいてはグルコースは受動輸送系で取り込まれ、以下のステップを経てインスリンを放出します。

  1. 脾臓β細胞内に受動輸送系をもってグルコースを取り込みます
  2. グルコースキナーゼによってリン酸化(活性化)されます
  3. 細胞質の酵素によって分解されミトコンドリアに入ります
  4. 酸化されてATP(アデノシン三リン酸)になります
  5. 細胞内のATP/ADP(アデノシン二リン酸)比が上昇します
  6. ATP感受性カリウムチャネルが閉じます
  7. カリウムの濃度変化により細胞膜に膜電位の変化が生じます
  8. 細胞内外のカルシウム濃度差がほんの少し大きくなります
  9. 電位依存性カルシウムチャネルが活性化し、細胞内にカルシウムが流入します
  10. カルシウム流入刺激によりインスリンが細胞外へ放出されます

受動輸送系で取り込まれるということは、一定以上の濃度が必要で、さらに取り込まれた後は純粋な反応のみでインスリンは放出されます。

代謝されない人工甘味料は血中に溶け込むことがありません。
結果、人工甘味料の摂取による血糖値の変化やインスリン放出は起こりません。

人工甘味料がインスリンの放出を促すという話は、シャーレ上のラットのβ細胞に人工甘味料を加えたところ、基礎分泌インスリンの上昇がみられたという論文から切り取ったものではないか、という推測がなされています。
要はヒトβ細胞ではなく、ラットのβ細胞で、さらに乱暴に言えば、細胞に直ドリ(笑)したら基礎分泌インスリンがちょっと増えた、という話です。
代謝されない人工甘味料を体内でどうやってβ細胞に直ドリするかという大問題をクリアしなければならないのですが、その辺は適当に扱っているんでしょう。
事実の一部を切り取ることは詐術の常套手段です。
そう、この記事すらも正しいのかどうかはわからないのです。何事も疑ってみる。それが重要です。

参考文献
ニュートリゲノミックスー新時代の栄養学の幕開け  糖尿病と生活習慣病(1)
Banting Lecture 2011 Hyperinsulinemia: Cause or Consequence?
ドクター江部の糖尿病徒然日記 人工甘味料が、大量のインスリン分泌を促す?真相は?


追記
Twitter上で人工甘味料による血糖上昇があるという指摘がありましたが、一次情報にあたることができませんでした。代謝を考えるとどうあっても放出されるわけがないですし、二次情報はかなり恣意的に切り取られている文章であり、信用できません。この文章からは検査前の食事制限等が全く判明できず、また対象人数も、さらに2割上昇は最大なのかなどの情報が全く開示されておらず、印象操作を行っているとしか思えません。
他の論文で人工甘味料を積極摂取するグループに糖尿病リスクが明確にあったという結果があったようですが、BMIによる考慮を行うとそのリスクは消失してしまうということでした。
そもそも積極的にノンカロリー飲料を摂取する層はBMIが高めな人間が多いだろうというのは十分予想されることであり、さらにそのBMIが高い食生活を維持したまま一部をゼロカロリー飲料に置き換えても糖尿病リスクは下がらないのは当たり前かと思います。


1コメント

  1. 興味深い記事をありがとうございます!
    糖尿患者でもベイプは吸えるのか。
    にも繋がるので、非常に参考になりました。

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