可変電力機と電池の話

最近の流行ですが、中で何をやっているのか大雑把に解説してみます。


簡単な物理の話
電子タバコにおいて、蒸気量は電力量に比例します。
電力量は単位Jで電力と通電時間の積になります。
電力は単位Wで、電圧と電流の積で求められます。

電力量は「エネルギー」、電力は「ちから」とされます。
エネルギーとして考えた場合、電流電圧がいくつであろうと、同じ電力量であるならばエネルギー量は同一となります。
エネルギー量が同一であるならば、発生する熱量は同一です。
これが可変電力機でW数を固定したときに発生する蒸気量が固定される理由です。

この「エネルギー」と「ちから」、わりと混然一体に語られますが、これはJ=Wsなために1秒に限定してしまえば同一に扱えてしまえるのもあるでしょうし、物理学の長い歴史の中でエネルギーとちからは同一なものとして扱われていたというのもあるうえ、「ちから」なんていう一般的な単語で表すからより一層ややこしいことになっているんだと思います。
1秒だけ吸うなら同じことですし時間を持ち込むとややこしい話になるのでこの記事ではあまり深く考えずにWだけで考えます。

可変電力機の動作

電子タバコの可変電力機がやっていることはなんでしょう?
電力は前述したとおり

\( 電力W = 電圧V \times 電流I \)

の関係にあります。
可変電力機の動作を考えるのには、まずコイル側の部分から考えます。指定されたWを出すためには、電圧と電流を決定しなければなりません。電圧と電流にはオームの法則

\( 電圧V = 電流I \times 抵抗Ω \)

がありますので、自由に電流電圧を設定することはできません。電力の式のままでは計算が面倒なのでオームの法則を変形し、電流について電圧と抵抗の式に変形します。

\( 電流I = 電圧V \div 抵抗Ω \)

この電流Iについての関係式を電力の式に代入します。

\( 電力W = 電圧V \times 電圧V \div 抵抗Ω \)

これにより、固定パラメーターの抵抗値と、可変パラメーターの電圧のみの式に変形できました。さらにこの式を変形します。

\( 電圧V^2 = 電力W \times 抵抗Ω \)
\( 電圧V = \sqrt{ 電力W \times 抵抗Ω } \)

これで設定電圧が求められます。昇圧・降圧回路で指定電圧を生み出せば問題がない、ということになります。

次にバッテリー側のことを考えます。
バッテリーは電圧が固定と考えることができます。このため、指定された電力を出すための電流量は電力の式の変形から求められます。

\( 電流I = 電力W \div 電圧V \)

ここから放電電流量が計算されます。放電電流量が求まれば、その放電電流量を得るための抵抗値がオームの法則の変形より求まります。

\( 抵抗Ω = 電圧V \div 電流I \)

可変抵抗をこの抵抗値になるように設定し、昇圧・降圧回路に与えてやることでコイル側へ指定電力が供給されることになります。

実際には昇圧・降圧回路によるロスがあり、20%くらい割り引いてやらないといけないでしょう。
おおざっぱには電流値を1.25倍くらいした放電電流を要求されると考えればいいかと思います。
また、リチウムイオンバッテリーは徐々に降圧するため、その可変電圧機のカットオフ電圧として計算することで最低限必要な放電能力が見積れるかと思います。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください